世田谷ライフマガジンの別冊、「世田谷の家づくり」に下馬の自邸がデザインリフォーム事例として紹介されました。何気ないことで東京にいながら自然を感じられる街、世田谷。 都会と豊な自然が共存する世田谷で、毎日の暮らしを楽しんでいる、そんな人たちのライフスタイルを紹介しています。風の見える街、東京都世田谷。都心に隣接する緑あふれる邸宅地には、仕事と暮らしをバランスよく両立する魅力的な“世田谷のひと”の暮らしがあります。
家を建てたいと思ったとき、今の家がちょっと不満だからリフォームをしたいと思ったとき、あなたならどうやって自分の中の理想を具現化していきますか?・・・オススメしたいのは、建築家やデザイナーと一緒に家づくりをしていくことです。家のプロフエッショナルである建築家・デザイナーならではのアイデアであなたの理想に限りなく近い、いや、それを超えるほどの家ができあがるぱず。
少しずつリフオームを重ね
自然との共生を考えた
建築家の自邸
家を建てるということにおける考え方として、広がりを見せている
自然との共生。これを現在のように気運高まる前から取り祖んできた建築家がいる。珪藻土という素材をそこかしこに使って、機能性と人間本来の生活を両立、少しずつリフオームをしながら造り上げていった浪崎氏の自邸を紹介する。
鳥のさえづりが響く、緑に囲まれた世田谷の閑静な住宅街、珪藻土で作られた塀が温かみを感じさせる浪崎邸。昭和30年に購入した家を少しづつリフォームし続けた、建築家の自邸兼事務所である。「住宅を可変なものとして捉え、家族構成の変化とともに改造して、家づくりを楽しんでいます」。と浪崎氏は自邸について語る。“自然との共生”というものを常に考えて設計される氏の作品は、いずれも自然環境を日常生活の中へ大胆に取り入れたものばかり。家の中にいながら、外界から四季の移ろいを感じさせる。 この家における最大の特徴はリフォーム。それぞれI回I回の規模は小さいながらも、今までに7回ものリフォームを重ねて今に至る。第1回目は昭和38年のこと、氏の母親が編み物教室を開くためにI階の増築を行ったことから始まる。その後、平屋だったものを2階建てに増築、納戸だった場所を植物鑑賞のために温室へ変身、老朽化した家の寿命を引き延ばすために行った1階の全面改築・:と次々にリフォームを行っていっている。現在の姿は誰が見てもそんなに築年数が経っているとは思えないほど美しく、そして建物としてもしっかりとしている。「今までに何度もリフォームを重ねてきましたが、建物としての強度など、建築の基本は絶対に守るようにしています。今、世間で流行っているリフォームはそこを考えずに見た目だけキレイにしているものが多いんです。だからこそ、リフォームにしろ新築にしろ、私は時間をしっかりとかけてじっくり取り組みます。」そんな、氏の建築家としての真摯な姿勢に顧客からの信頼も厚い。今回紹介した自邸だけでなく、氏が携わった物件には珪藻土を随所に散りばめられているのが見て取れる。これは、自然との共生、自然と接した時に誰しもが感じるであろう喜び、安堵感を演出しているだけでなく、珪藻土という素材が家づくりにおいて優れているからだ。珪藻土というものは、水中で生きる珪藻の死骸が化石化し堆積したもので、吸湿、保湿効果で湿度を適度に保たせ、さらに消臭、消音効果も期待できる。まさに自然が生み出した、家づくりにとって最高のパートナーと言えるだろう。そんな珪藻土を使ったものの中でも、最も個性的に映るのは玄関扉。分厚い一枚板を縦に切り、その隙間を珪藻土で埋めて作られている。その新しい発想にハンズ大賞で特別賞も受賞した作品。珪藻土ならではの通気性も扉にぴったりだ。 一気に改築するのではなく、生活環境に合わせて、少しずつリフォームという行為を楽しんでいるようすが伝わってくる浪崎邸。目先の美しさにとらわれずに、しっかりとした知識と技術を以て本当のリフォームは完成するのだ、ということを世に問うている、これから家づくりをする人にとって大きな意味のある一軒だと言えるだろう。
リビングから見える温室には、多くの植物が育てられ、部屋のアクセントとしても効果的。
建築の基本である家の骨格を考えた
リフオームが大切
2階のベッドルーム。大きなガラス戸の向こうには自然林が広がり、木々がさざめく音や鳥の鳴き声が聞こえてくる。
廊下に掛けられた絵画は浪崎氏が描いたもので、見る者の心を魅惑する。最近は石灰を使い、独自の手法で描く絵画(ライムアート)で内閣総理大臣賞などを受賞するなど、多彩な一面をみせる。
ハンズ大賞特別賞を受賞した、木と珪藻土を使った玄関扉。通気性をはじめとした機能性だけでなく、芸術としても味わい深い逸品。
(記事紹介:
建築デザイン建匠 浪崎)