2006年 09月 24日
コンクリートも自然な若返り 打ち放しの風合いを蘇らせるテクニック |
打ち放しの風合いを蘇らせるテクニックで築15年の住宅が新築のように生まれ変わりました。
一口にコンクリート打ち放し風仕上げといっても模様、色合い、或いはツヤなど、本物に近づけるにはコンクリートの打設時と同様に高度な技術と感性が必要です。
新築時に美しい肌合いのコンクリートを打設する時は設計者も相当な注意を払って現場監理をするものですが、リニューアルとなると以外と職人任せにして失敗している現場をよく見かけます。
コンクリートも必要な時期に手入れをしておかないと酸性雨やアルカリ骨材反応など様々な条件が重なり、中性化が進み風化も激しくなっていきます。
中性化が進むと表面から浸透した水分で鉄筋の錆びが進行し、鉄筋の体積が膨張することでコンクリートを爆裂させることになってしまいます。コンクリートは化学変化で硬化する時、余剰水が内部に発生し体積の変化に伴い水平の鉄筋の下端に密度の希薄な部分が発生し漏水の原因を作る場合があるといわれています。
特に構造クラックは直接雨水が浸入してしまう為、入念にエポキシ樹脂注入処理を行います。
クラックに沿って表面をコーキングし、ボンベの中にエポキシ樹脂を圧入していきます。圧入された樹脂は24時間を経て細かいヒビの中に浸透して硬化します。
ブラシで丁寧に洗浄されたコンクリート面に通気性で超疎水性という特性をもたせた特殊な無機高分子素材を塗布します。
ここからが職人技の見せ所、自作の特殊なコンクリート模様形成具で模様付けを行って仕上げていきます。ただ、いくら高度な技をもっていても、とかく目の前の限られた壁面に神経が集中しがちな為、私が全体を見ながら、もっと繊細に、或いは自然なムラをだして・・・などと指示を出しながら仕上げていきます。
画像では詳細な質感が伝えられなくて残念ですが自然な風合いに仕上がっています。
小タタキ仕上げのコンクリートの部分は塗料によって骨材が白っぽく被ってしまう為、迫力がなくなってしまいます、そこで骨材の粒々に色付けすることで新築時のように復元しました。
<企画:浪崎>
by wakakenn
| 2006-09-24 16:16
| 建築雑学