2007年 05月 04日
住まいを彩る鍛鉄工芸 |

珪藻土の家のコーナーには手作りのダンロが置かれています。こちらのOご夫妻は何年も前からダンロのある暮らしに憧れ、ある展覧会で鍛鉄家とめぐり合い、そこからダンロを中心にした家造りが始まりました。

このダンロは、建築家集団 若建の仲間でもある鍛鉄工芸家 西田光男氏の手作りです。1994年の竣工当時、球体のダンロは大変に珍しく、西田氏は独自の工法で新作にチャレンジしていました。紙で地球儀を作るように精密に作図をし、厚い鉄板を正確に切断し球体に組み立てていきます。ここで私は二つの難しい注文をだしました。ひとつは135度に開いた背中側の壁に沿ってダンロの形状も合わたデザインとすること。二つ目は、木目の美しい空間にダンロの周りだけタイルを貼ることはデザイン面で避けたかった為、周りの壁が可燃物でも安全なように、背面に熱が伝わりにくい構造とすることでした。
意匠的にもなんなく希望を取り入れてくれ、また性能面でも断熱材も含めた空気層を3重構造とすることで解決してくれました。予算の壁もあったと思いますが、希望をかなえてくれた上、お湯を沸かすポットを入れるポケットまで作者の方から提案してくれました。

足元は火の粉が落ちても安全なように、耐火性に優れた珪藻土の土間で仕上げています。
インド砂岩や貝殻、ビー玉などを散りばめ、ワイヤーブラシで珪藻土を削りだしています。

食堂のコーナーサッシの後ろに少しだけダンロのエントツが顔をのぞかせています。

玄関の珪藻土の壁のコーナーに置かれた鍛鉄の椅子も西田氏に造ってもらいました。現在この家には、お孫さんも含め三世代の同居、この椅子も手造りのダンロとともに、世代を超えて受け継がれています。
(記事:浪崎)
by wakakenn
| 2007-05-04 15:06
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