2007年 05月 13日
住まいを彩る木工芸 |

オリジナルの木製デザイン框戸です。何枚もデザインスケッチを重ね、建築家集団 若建の仲間でもある木工芸家、トミタウッドワーカーの富田氏とのコラボレーションで実現しました。ケヤキ風に見えますが無垢のカナダ杉を塗装して色合いを調整しています。竣工後13年を経過して、深みのあるいい色合いになってきました。
外部に面する玄関ドアで無垢の板ですから板の収縮は当然考えられます。そこでチギリを入れて補強をするわけですが一般的には同色の材質を打ち込み、出っ張ったあたまにカンナを掛け、面合わせで収めています。富田氏はこのチギリに丸みを持たせ、あえて色の異なるチークなどの素材を使って意匠的に表現しています。

鉄骨3階建ての住宅の一階部分に取付けられていますが一階がピロティーで居住スペースは2階と3階となっている為、電気錠が必要でした。

そこで無垢の框戸の中央部分には、米松材を横縞模様に削りだした特殊な合板を使用し、内部の空洞に電気配線を通すパイプを埋め込みインターフォン連動のシステムを内蔵しました。

このドアハンドルも特注で依頼しました。チークの木の塊りからリーフのような取っ手部分を削りだして造ってあります。13年を経て故障もなく愛用されています。

ドア上部には、やはり若建の仲間でもあるグラスハウスNENの尾崎氏によるガラスキューブを埋め込んであります。日中は間接光で明るく輝き、夜になるとキューブから照明の明かりが漏れ、手造りの温かみが感じられます。

何気なく居間に置かれたテーブルとアメリカンチェリーで仕上げた椅子も富田氏とのコラボレーションで製作してもらいました。

食堂のテーブルも玄関ドアと同様に、フリーエッヂを生かした2枚の無垢板をチギリでつなぎ合わせて仕上げています。
自分の設計させて頂いた空間にふさわしい家具を選定することも、設計者としては大切な仕事だと考えています、山ほどある既製の家具も、施主や空間に対し中々しっくりとした良い出会いがあるとは限りません。
このお宅の場合は、デザイン、素材、色合い、サイズ、価格・・・色々な要望をお聞きして、デザイナーと工芸家とのコラボレーションでオリジナルな家具が実現しました。今では3世代に渡って引継がれ、日々の暮らしの中で愛用されています。(記事:建築デザイン 建匠 浪崎)
by wakakenn
| 2007-05-13 17:34
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