2007年 06月 19日
『版築壁』の見学会報告 迎川 |
版築(はんちく)とは、コンクリートの様に型枠を組んで、その間に土を入れ突き固めた壁。
龍安寺石庭の築地塀などが有名ですが、手間がかかるので最近は見られなくなった。
鈴木忠さんは、その地の土を使ってこの版築壁をつくっている。


まるで陶器のような味わいは、空間に品格と安定感を産む。
どうしても土の収縮により、縦にクラックが入ってしまう。

壁下地はラスカットパネルにリブラスを貼り喰らい付を良くしている。
ラワンベニアで型枠を組み、30cmぐらいづつ土を落とし込み叩いて固めていく。
今回は厚さ5cmでつくってあるので、完全に仕上げ材として用いている。
この壁をつくるには、長さにもよるが人数が必要で、とても手間隙がかかる。

見学が終わった後、居酒屋に会場を移し勉強会&懇親会が開かれた。
若建メンバーに能力開発大学の学生を加えて、皆さん熱心に鈴木さんの話を聴く。
スライドを使った説明はとてもわかりやすく、土壁の世界に引き込まれていく。
版築壁の他に、土蔵の改修工事の模様を見せていただく。
その下地作りの様子と竹を縄で編んでいく美しさに感嘆する。
鈴木さんは、昔から日本民族が馴染んできた、土という有機素材を大切にしたいという。
有機素材だから酵素を加えると結合力が高まり、健康に良い壁になる。
もちろん美しいだけではなく、調湿作用や吸臭作用があり室内気候を快適に保つ。
ものづくりの原点は泥んこいじりだという氏は、子供たちには土壁体験が必要と言う。
土をこねて、その質感を体で感じて、壁をつくっていく・・・。
最近の子供は、泥んこ遊びをしなくなったなぁ・・・。
ちゃんとした家をつくるには、それなりのお金がかかるもの。
石膏ボードを貼り、ビニールクロスで包まれた、簡易な家はもう止めたらどうかという。
100円ショップのような使い捨てなモノが氾濫し流行る日本の安物社会に辟易とする。
昔から日本人は華美ではないが良いものを大切に使い込む文化を持っていたはず。
住宅にそれなりのお金をかけても、使い込める本物の家をつくれば長持ちするので、
結局経済的だし、建築廃材も減らせて環境貢献できる。
安物をつくるから直ぐに飽きて使い捨て、結局高いものについているという。
雑誌にも時々原稿を書いたりして、土壁の素晴らしさを伝えている。
インタビューだと楽だけど、自分の意図と違うまとめ方をされて、言いたい事が伝わらない。
だから、自分で書くしかない。最近はホームページやブログも使って直接情報発信する。
by wakakenn
| 2007-06-19 01:02
| 見学会・勉強会

