2007年 07月 28日
八ヶ岳山麓見学ツアー 後編 |

翌日最初に訪れた私のお勧めスポット“吐竜の滝”、名前の由来は竜が水を吐くように清水が岩の上を流れ落ちるところから付いたそうです。

本来、清里の牧場の脇から川沿いの遊歩道を一時間ほど下り最後の見せ場なのですが、今回は高齢の方もいらしたので最短の逆ルートで約10分の散策です。あの橋を渡るともうすぐだよ・・・・と、息の切れ始めたコロロンをなだめながら上流へ向かいます。

中でも一番のお気に入りが、この庭園のようにコケむした景観。秋の紅葉もみごとです。

林の中はじっとりと汗ばむ陽気でしたが、渓流の周りは空気もひんやり、水のつめたさにもコロロンはご満悦!

夢宇谷(むうだに)・・・・広大な敷地の中には沢が音を立てて流れている。 ギャラリー「MUU」はこの中にひっそりと佇んでいた。

備前、常滑や信楽などの器や工芸ガラスなどアート作品が気持ちの良い空間の中に並べられたギャラリーで、回廊を歩くように次から次と場面が切り替わり興味をそそられます。書家としてニューヨークでも活躍するアーティスト:ユキ ヨシアキ氏が経営するギャラリーで500人を超える作家の作品(数千点か?)が展示されている。あまりに膨大な展示品をみて、自分がどういった傾向に興味を抱くかが絞られると同時に、自分自身の発見を味わう、とっても楽しいひと時でした。さすが地元の山荘暮らし、こんな、とっておきの隠れ家につれてきてくれた天野氏に感謝!

回廊の途中にある喫茶コーナーです、にじり口から茶室に入るような落ち着いたスペースは、窓の高さを抑えて景色と対話するような空間に仕上がっています。同行した仲間も入れてシャッターを切る、いやー、美しい!・・・・どっちが??

続いて訪れた平山郁夫シルクロード美術館、同時開催されていたシルクロードのガラス展は見応えがありました。この美術館は水澤工務店の設計施工です、数奇屋では一流の施工の技で随所に見せ場を感じさせ、こじんまりとまとまった、居心地のいい美術館でしたが、メインの壁面にRCの打継跡が目立ったのは残念でした。天下の水澤といえどもコンクリートの打ち放しには手こずっていた様子でした。

いよいよ、お目当ての美術館が林の向こうにみえてきました。

1980年代アメリカのアートシーンを席巻したキース・ヘリングの作品のみを展示するプライベート美術館です。設計は芸大の教授でもある建築家・北川原温氏。環境も含めた全体が、森の緑も背景に利用したアート作品のようにキース・ヘリングのモダンアートを感じさせる建物でした。

RC壁構造、300幅のコンクリートの壁を自立させ、鉄骨トラス構造にデッキプレートを敷いた屋根構造になっています。通常は屋根スラブに打設するコンクリート強度が出るまで下からサポートを架って補強しますが、ここではまったくサポートを使わず、完全にぶら下がらせ、重力に逆らわない三次曲線で強度を高める工法で施工されています。
こんな高度な技術とは裏腹に外壁面に貼り巡らされたカラマツ材の未熟な収め方と施工の悪さで竣工したばかりなのに、いたるところで破損している状況にはがっかりしました。

企画の私がいうのもなんですが(だれも言ってくれないもんで)いやー、いい見学旅行でした・・・コロロンも美術館のホールでひとやすみ、大満足の様子です。
(記事:浪崎)
by wakakenn
| 2007-07-28 14:19
| 見学会・勉強会

