2008年 07月 27日
手造りのデザイン門扉 |
手造りのデザイン門扉が完成しました。出会いのきっかけは私のブログ、以前に私がデザインした門扉を覧になった方からの依頼でした。インターネットでデザイン門扉を検索しても既成の門扉はどれを見ても良いデザインのものはなく、色々と探しまわった結果、ようやく気に入ったデザイナーにめぐり合えた、と嬉しいお話を聞かせていただきました。
今までの門扉が木製だった為、年月が経つと、いくら表面の塗装を塗り替えても内部に侵入した湿気は防ぎようがありません。私が訪ねた時は、ハメ板は反り返り、錆びいた丁番の片方は折れてしまった状態でした。
まずは既存建築の外観の調査からスタートしました。いくら力をいれたデザインでも、その場所に馴染まなければ魅力は半減してしまいます。自分の設計した建物であればデザインの流れは絞込み易いのですが、今回の場合は違った難しさがありました。何通りもの原案をグラフィック画像で作成し、打ち合わせを重ねた結果、最終的にこのデザインに決定しました。
目隠しのポリカーボネート板を付けない案も玄関ポーチの植栽が楽しめ、捨てがたい魅力がありましたが、玄関内部まで見通されてしまう為あきらめることに・・・。
素材はメンテナンスフリーのステンレスを採用し構造上、重要な部分はムクのフラットバー、そして内部の水平格子は軽量化を図るためステンレス角パイプを使い分けています。
想像以上に重量があるので軸吊りの丁番は特別入念に仕上げています。ところが一つ問題がありました、取り付ける塀の構造体がコンクリートかブロック積みか住まい手もご存知なかったからです。全面タイル貼りのためどこを見ても確認ができません、そんな中、郵便ポストの内部のほんのわずかな隙間にコンクリートを打設した時に出来る型枠ベニヤの断面の痕跡を発見、ドリルで確認の上、しっかりとアンカーボルトを打ち込むことが出来ました。
ムクのステンレスで特別に製作した丁番です、上部のピンを抜くと簡単に外せる仕組みで、全体の加重は土間で受けるように設計しています。もちろん、盗難防止の為、ピンの固定も怠りません。
水平のステンレス格子には一段おきに木製の角材を固定し、デザインに温かみを加えてあります。木材の耐久性を高めるため、イペ材を使用し取付け前に塗装したものを下からステンビスで固定しています。
ハンドルはアルミのムクのデザイン、そして召し合わせの部分は格子フレームの中に本締り錠を組み込みました。
私の手はゴツイ手なので大丈夫でしたが、女性のようなスリムな手だと細いスリットから内部のサムターンを廻せてしまうので防犯グッズの特殊なキーに付け替えました。
キャップの内側にキーが付いていてキャップを外せば開けられないので安心です。更にキャップにはマグネットが付いているので鉄の部分ならどこでもくっつけて保管できます。
(記事:design-kensyo 浪崎)
by wakakenn
| 2008-07-27 14:15
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