「メンズファッション・芸術家による改革」
9月15日に企画決定し、既に皆さんにお知らせしておりました今期3回目の企画が、当会井上さんのお世話で去る10月29日池袋の明日館・タリアセン(定員36名)にて午後6時から8時にかけて実施されました。(出席者数13名)
講師には文化学園大学、准教授の北方晴子先生をお招きしました。先生はメンズアパレルで勤務された経験も豊富な方だけに実地を踏まえた大変解り易い、しかもコアなお話をして頂きました。
その概要は、1.メンズファッションの簡単な歴史、(1)華やかなメンズモード(17~18世紀)*フランスの
ルイ王朝時代のハイヒール靴に煌びやかなファッションに始まり、イギリス、オランダの交易・商業主義の台頭及び宗教改革による変遷。(2)単純化・固定化するメンズモード(19世紀)*フランス革命、啓蒙とヨーロッパに於ける自由主義の時代、イギリのダンディズム(男らしさの追求)*簡素・地味
2・メンズファッションの改革の波(19世紀末~20世紀初頭)民族主義の台頭・社会民主主義の時代・芸術面
ではアールヌーボーの影響、そして独裁時代から第二次世界大戦のミリタリーファッション等々(軍服はかっこいい)
3・イタリア未来派によるメンズファッションの提案(20世紀初頭)(1)ジャコモ・バッラの未来派スーツの創作・ (2)バッラの「未来派男性衣装改革宣言」、(3)バッラの「未来派反中立男性衣装改革宣言」
(4)タイアートの「TUTA」:一枚仕立ての(5)タイアートの「男性衣装変容宣言」*1926年つなぎ服と上着を考案等、(6)クラーリのメンズスーツ、(7)「イタリア帽子未来派宣言」(8)「イタリアネクタイ未来派宣言」、*金属製ネクタイ
4.まとめ、新しい創造性を求めて、20世紀は、モードとアートが接近、ファッションデザイナーは芸術家であるという概念が世間に受け入れられる。
一時間半にわたる興味深い講義終了後、30分の質疑応答を行い、ファッションと建築の共通性、ミリタリールックの現代への影響等々質問は多岐にわたり、先生ご自身も大変示唆を受ける所があったとの感想を述べておられた。
終了後、席を「楼蘭」に移し北方先生はじめ、途中参加の絹織、染色(草木染)家のいしいゆみこさん、も加わって談論風発10時頃にお開きとなった。 終わりに、北方先生はじめ井上さんのご尽力に感謝を申しあげます。
以上
参加者は以下の通り :天野、井上、泉本、駒井、浪崎、平間、渡辺、迎川、深耕、西田、多賀谷、野口、森島
石井(楼蘭参加)―敬称略―
楼蘭不参加の多賀谷さんより5000円のカンパを頂戴しました。
森島記
講演中の北方先生
講演会の様子。13人と出席者は多くはなかったが皆熱心に聴き入り、来る前にファッション店をのぞいて勉強してきたNさんのような人もいて質疑応答も活発だった。
撮影:迎川